第59章 神崎雅臣の態度

夏目千尋はスマホを置き、部屋の中をぐるりと見回した。

ベッドの足元にはスーツケースが開けっぱなし。窓際の小さな丸テーブルには書類が山積みになっている。

いちばん上の数枚は広げられたまま、びっしりとデータのグラフや英語の書き込み。

千尋は一瞬、固まった。

この男、危機感ってものがなさすぎない?

企業秘密を、こんなふうに堂々と出しっぱなしとか。

「……あの」千尋はテーブルを指さした。「書類、片づけたほうがいいんじゃない?」

神崎雅臣はキーボードを叩く指を止めない。顔も上げずに言う。

「何を片づける?」

「そのレポートです」千尋は声を落とした。「私、一応部外者ですし。万が一、見ち...

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