第70章 自分の立場を固めたいだけ

神崎おじい様もさすがに年で、しかも長時間のフライトで散々揺られたせいか、すぐに体がもたなくなった。

二階へ上がる前、ふいに階段の踊り場で足を止める。

「そうだ、雅臣」

神崎雅臣は書斎へ向かいかけていたが、その声に立ち止まり、顔を上げて祖父を見た。

「千尋との新居だがな。近いうちに一度、見に行かせてもらうぞ」

神崎おじい様は手すりに手を添え、にこにこと笑う。

「まだ一度も行ってないんだ。お前たち夫婦がちゃんと暮らせてるのか、気になってな」

神崎雅臣の表情は動かない。

「分かった」

「じゃあ決まりだな。二、三日したら、ふらっと覗きに行く」

満足げにうなずくと、神崎おじい様はゆ...

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