第74章 子ども

神崎雅臣は車を降り、神崎家の門をくぐった。

リビングでは、神崎のおじい様がソファに半身を預け、膝に薄いブランケットを掛けている。手には磁の壺。ひっくり返して底の銘を確かめ、正面に戻しては光に透かし、口元に笑みが浮かんでいた。

雅臣は靴を脱いで近づき、視線をその壺に落とす。

確かに出来がいい。ひと目で安物じゃないと分かる。

「どこから?」

おじい様は顔を上げ、にこにこと言った。

「お前の奥さんが持ってきた」

雅臣の足が、わずかに止まる。

「千尋って子がさっき寄ってな。昨日迎えに来られなかったからって、わざわざ詫びの品を持ってきたんだよ」

おじい様は壺の角度を変え、また光にかざ...

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