第81章 おもちゃ?

夏目千尋はタオルで髪を乱暴に拭いた。

車窓の外では雨脚が少しずつ弱まり、路面に溜まった水がくすんだ街灯の光を映している。

「神崎社長、ここで寄せて停めてもらえますか」

夏目千尋は間を置かずにそう言った。

このまま走られたら、どの住所を告げて帰ればいいのか、自分でも分からなくなる。

白石深尾がブレーキを踏み、ルームミラー越しに自分のボスをちらりと見た。

神崎雅臣はシートに凭れ、長い脚を組んだまま、指先でタブレットの画面を滑らせている。顔も上げない。

「もう雨も止みましたし、ここで降ります」夏目千尋はタオルを畳んで横に置いた。「家、この辺なんです。少し歩けば着きます。今日は助かりま...

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