第82章 バレた?

夏目千尋は社員証を引き出しのいちばん奥へ押し込み、力任せに閉めた。

椅子の背にもたれ、天井を見上げたまま、しばらくぼうっとする。

青いネックストラップが、だらしなく外へ垂れていた。盛天広告会社――あまりにも目立つ文字。

神崎雅臣みたいな男が部屋に入って、視界を一度も走らせないはずがない。

見た。だから、腕輪を置いて出ていった。

夏目千尋は目を閉じた。

こういう日が来ることは、最初から分かっていた。

神崎雅臣に隠すと決めたその瞬間から、いつかは破れる、と。

ただ――こんな形だとは思わなかった。

たぶん、もう察している。

アンナは自分だと。

……この先は?

問い詰められる...

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