第94章 残ったほうがいい

夏目千尋は画面に表示されたそのメッセージを見た瞬間、背中に冷たい汗が噴き出した。

飛びつくようにしてスマホを奪い取る。

「浅見礼緒! 何してんの!」

慌ててそのメッセージを長押しし、取り消しを押そうとした――その矢先。

相手から新しい通知が飛んできた。

【口座】

夏目千尋の指が、宙でぴたりと固まる。

浅見礼緒が覗き込み、吹き出した。次の瞬間、ひょいとスマホを取り返す。

「ほらね。あの人、こんな端金どうでもいいんだって」

「ふざけないで、早く返して!」夏目千尋が手を伸ばす。

浅見礼緒は身を反らしてひらりとかわし、指先だけでキーボードを叩き、数字を一気に打ち込んで送信した。

...

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