第99章 家まで送る

夏目千尋は隙を突いて彼を突き放し、身を翻して駆け出した。

二歩も行かないうちに、手首をがっしり掴まれる。

ぐい、と強い力で後ろへ引き戻され――

「……っ!」

悲鳴が漏れた瞬間、千尋の身体は硬い胸板にぶつかった。

ふわり。鼻先をくすぐる、覚えのある冷たい香り。

顔を上げると。

神崎雅臣が背後に立っていた。表情は氷みたいに冷え切っている。

片腕で千尋を庇うように抱き寄せ、もう片方の手で三上隼人の手首を容赦なく捻り上げていた。

三上は顔面蒼白になり、額に脂汗を浮かべる。

「神崎社長……っ」

神崎雅臣は一瞥すらくれない。

手首にさらに力を込め、そのまま乱暴に放り投げた。

三...

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