第4章

由梨は、真っ白な病院の天井を見つめながら、乾いた笑みを浮かべた。

匿名掲示板で浮気の武勇伝を語るような男。心の底から、気持ちが悪い。

そして、そんな男の本性に長年気づけなかった自分。我ながら、呆れて言葉も出なかった。

大学を卒業して間もなく、彼は由梨にデジタルフォレンジックの会社を辞めるよう執拗に迫った。理由はたった一つ――直属の上司が、大学時代に彼女の技術を高く評価してくれた中村先輩だったからだ。

「中村は私の先輩で、恩師でもあるの」

由梨は当時、必死に説明した。

「ただ、私の技術力を認めてくれているだけよ」

しかし、祐一は「あいつはお前に気がある」と頑なに言...

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