第7章

藤田祐一が不意に一歩踏み出し、その手のひらをドアフレームに叩きつけるように押し当て、由梨がマンションへ戻る道を塞いだ。彼の目は血走り、髪は乱れ、シャツは皺だらけのままズボンに押し込まれている。ここ数日、まともに眠らずに彼女を監視していたことが一目でわかった。

「本当に、俺たちの関係を捨てる気か?」藤田の声は掠れて低く、不気味なほどの落ち着きを帯びていた。

由梨は一歩後ずさり、警戒しながら彼を見つめる。「藤田さん、帰って。私たちはもう終わったの」

「終わった?」藤田は冷笑した。「俺たちの間に終わりなんてない。晴美がお前に送ったメッセージも写真も、全部、俺がやらせたことなんだ。お前...

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