第6章

 私立病院のVIP個室で、また目を覚ました。窓の外では、冷たい雨がしとしとと降り続いている。

 小林先生が、私の腕に巻かれていた焦げたガーゼを、いましがた新しいものに替えたところだった。

 病室の扉がそっと押し開けられ、裕士が入ってくる。髪は少し乱れ、片手には湯気の立つアールグレイとスコーンの袋。

「よかった……やっと目を覚ましたんだな、瑞穂」

 彼は足早にベッド脇へ寄り、息を吐くように続けた。

「死ぬほど心配した。あんな廃ビルの中にいたなんて……くそ、でも無事でよかった」

 伸ばされた手が、私の頬に触れようとする。

「触らないで」

 冷たく言うと、裕士の手は空中で固まった。...

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