第5章

 彼らがこちらを振り返る、その前に――私は強ばった身体を必死に折りたたみ、石の扉の向こう、巨大な黒曜石の坩堝が落とす影へと滑り込んだ。

 心臓が破裂しそうなほど暴れている。両手で口を押さえ、歯を食いしばった。

 声を出すな。絶対に。

 石扉が、完全に押し開かれる。

 タタタッ、と急ぎ足の音が、だだっ広い地下の錬金室に反響した。

「……ここだよ、母さん。ゆっくり」

 サイラスの声。

 私は息を殺し、影の隙間から彼らを凝視した。

 祭壇の縁――家であの凄惨な顔を見せた灰青色の残霊が、いまは静かに宙へ浮かんでいた。

 誰にも襲いかからない。

 ただ俯き、虚ろな眼差しで、悲しげに...

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