第8章

 祭壇の上で、かすかな赤い光が――完全に消えるのを見届けた。

 魔法陣の紋様が、一筋ずつ、じわじわと色を失っていく。

 サイラスの胸元。ほとんど結晶化していた心臓は、最後の艶すら奪われたみたいに、ただの冷たい塊になった。

 命の火が、消えた。

 哀号を上げる暇すらなかった。本物のサイラスが、目の前で、少しずつ灰になっていく。

 ベアトリスが悲鳴を上げ、ルーンの上に崩れ落ちるように泣きじゃくり、そのまま気を失った。

 私は全身を凍らせたまま首だけを回し、祭壇の縁に立つ執念の残影を見た。

 灰青色の虚ろな輪郭が、今は激しく震えている。

 それは深く、名残惜しそうに、最後の一度だけ...

ログインして続きを読む