第162章

「沙耶……」

立花柚月は娘を案じて声を漏らした。この子は誰とでもすぐに仲良くなれる人懐っこい性格だが、もし西園寺家の祖父に冷たくあしらわれでもしたら、きっと傷ついてしまうだろう。

西園寺蓮が彼女の手首を掴み、きゅっと優しく握る。焦るな、という合図だ。

立花柚月がおそるおそる視線を向ける。

そこでは、西園寺家の祖父が腰を屈め、沙耶を抱き上げようとしていた。まるで子供など一度も抱いたことがないかのように、その双腕はぎこちなく強張っている。今にも落としてしまいそうな危なっかしさだ。

だが、よく目を凝らせば分かる。彼は沙耶を落とすまいと必死なのだ。両手でしっかりと小さな体をホールドしている...

ログインして続きを読む