第207章

湯川七海は、立花柚月が断るだろうと見越していたのか、反論の隙も与えずに用件だけを伝えて電話を切った。

立花柚月は暗転したスマホの画面をしばらく見つめていた。

その様子を隣で見ていた大鎌干夫──西園寺蓮が彼女につけた護衛──は、長い沈黙に耐えきれず口を開いた。

「立花様、行かれるのですか?」

立花柚月は深く息を吐き出した。

「行くわ」

好むと好まざるとにかかわらず、彼が命の恩人であることに変わりはない。

あの時、黒田大河が盾にならなければ、車体を突き破った太い木の枝に貫かれていたのは彼女だったのだから。

大鎌干夫は少し躊躇いながら尋ねた。

「西園寺さんには、お伝えしたほうがよ...

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