第210章

一条利明はお茶を運んでくると、労うように声をかけた。

「ご苦労だったね。彼女の相手も骨が折れるだろう」

「とんでもないです。私にとっては、これこそが一番の安らぎですから」

立花柚月は心からの本音を漏らした。

会社での仕事は神経をすり減らすし、家に帰れば二人の子供たち、沙耶と翔の相手が待っている。あの二人は育ち盛りで、まさに「子供」そのものだ。母親の関心を片時も求めてくる。

それに比べれば、今の時間は穏やかなものだった。

一条利明は口元に温和な笑みを浮かべた。

「そういえば、黒田大河の会社だが、持ち直したようだぞ」

立花柚月は驚く様子もなく、ただ少し好奇心を覗かせた。

「誰が...

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