第216章

黒田夫人は部屋の入り口に立ち、息子の見る影もなく憔悴しきった姿を見下ろした。怒りと失望が心の中で綯い交ぜになり、理性を焼き尽くさんばかりに燃え上がっていた。

彼女はツカツカと歩み寄ると、黒田大河が握りしめていた酒瓶をひったくり、床に叩きつけた。

パリーンッ!

乾いた破砕音が響き、ガラスの破片が四方へ飛び散る。

黒田大河は酔眼を向け、虚ろで冷めた眼差しを母に向けた。そして、よろめきながらしゃがみ込み、床に散らばった瓶の欠片を拾おうとする。

黒田夫人は怒りのあまり全身を震わせた。

「今の自分を鏡で見てみなさい! たかが立花柚月一人のことで、ここまで落ちぶれるなんて……。それでもあなた...

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