第243章

静まり返ったリビングに、ナイフとフォークが触れ合うかすかな音が響く。それがひどく温かく感じられた。キャンドルディナーを終えた後でも、二人はテーブルを片付ける気になれなかった。

西園寺蓮はピアノ曲を流すと、立花柚月の前に歩み寄り、そっと手を差し出した。

「一曲、踊っていただけませんか?」

(キザなことして)

立花柚月は心の中で毒づきながらも、その手に自分の手を重ねた。

抱き合い、音楽に合わせてステップを踏む。場の空気は次第に甘く、艶めかしいものへと変わっていく。

二人の視線が絡み合い、あと少しで唇が重なる——その瞬間。ひどく無粋なスマートフォンの着信音が鳴り響いた。

西園寺蓮は気...

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