第28章

「柚月さん、絶対に早まらないでください!」

去りゆく立花柚月の背中に向かって、ノゾミは思わず叫んだ。ふと何かを思い出したように、彼女は続ける。

「どうしてもダメなら、あの『映画の帝王』に頼めばいいじゃないですか!」

立花柚月は留置所の門を出た。

降り注ぐ陽光の下で、彼女は苦笑を漏らす。

彼に頼る……?

私にそんな資格があるはずがない。所詮は契約結婚の相手だ。これ以上、彼に迷惑をかけるわけにはいかない。

とてもじゃないけれど、口になど出せなかった。

それに、これは私自身の問題だ。

自分の不始末は、自分でつけるしかない。

スマホの画面には、黒田大河から送られ...

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