第37章

湯川七海は一瞬きょとんとしてから、わざとらしくとぼけてみせた。

「誰のことだ?」

黒田大河が彼を睨みつける。

「分かった、分かったよ。からかうのはやめる」

湯川七海はタバコを一服すると、灰皿に吸い殻を押し付け、開口一番、皮肉を飛ばした。

「黒田大河、お前、自分を何様だと思ってるんだ? 立花柚月がいつまでも自分に執着してるなんて思うなよ。お前が目を覚ましてから、彼女の態度を見てりゃ分かるだろ?」

あれは、一刻も早く関係を断ち切りたがっている態度だ。

愛だの何だの以前に、立花柚月を振り向かせるなんて、天に昇るより難しい。

耳の痛い話だろうが、それが現実だ。

黒田大河は冷たく言い...

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