第66章

立花柚月はここ最近、仕事を控えることにしていた。

来る日も来る日も、家で西園寺蓮と翔の世話に専念している。

二人の体調は日増しに良くなっていた。

その様子を眺める老教授の目には、三人が本当の家族のように映っていたことだろう。

仕事を終えた西園寺蓮が帰宅する。

玄関を開けた瞬間、ふわりと食欲をそそる香りが漂ってきた。

立花柚月は最近、自ら厨房に立つことに凝っている。

おかげで家政婦のおばさんすら、二番手に甘んじている状況だ。

西園寺蓮は、その匂いだけで誰が作ったのかを悟った。

翔が彼を見て冷やかす。

「パパ、鼻いいね! 子犬みたい!」

西園寺蓮は軽く鼻を鳴らした。

「お...

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