第92章

立花柚月は法木弁護士と顔を合わせた。

「状況は芳しくありません。店の監視カメラは案の定、何者かに破壊されていて確認できませんでした。その後、ノゾミの同僚たちを何人か当たりましたが、誰一人として証言してくれる子はいませんでした」

法木弁護士は眉間を揉んだ。

この案件は、予想以上に厄介だ。

その時、立花柚月の脳裏に、あの日病院で見かけた一人の少年の姿が浮かんだ。

「一人だけ、心当たりがあります。彼ならあるいは、協力してくれるかもしれません」

「誰です?」

その瞬間、立花柚月のスマホが鳴った。

見知らぬ番号からの着信だ。

「……立花さんですか。僕、決めました。証言します。あの日、...

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