第10章

夜――小野家。

小野詩織は帰宅するなり、部下に命じて天城澪の身辺を洗わせた。

今日一日、会社で指をさされ続けた。全部、天城澪のせいだ。

ほどなくして報告が入る。天城澪には祖母がいて、重い病で入院中だという。

小野詩織の瞳の奥に、冷たい光が走った。

「その婆さん、見に行かせて」

指示を飛ばした直後、九条和也から電話が鳴った。

「詩織、今夜、誕生日の埋め合わせする。出てこい。玄関の前にいる」

迎えに来たのだ。

小野詩織は満足げに身支度を整え、九条和也と夜へ出た。

――夜10時半。

天城澪のスマホが震えた。病院からだ。

『おばあさまが急変しました。いま救急で処置に入っていま...

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