第105章

結婚式当日。

披露宴会場は絢爛豪華に飾り立てられ、招待客が途切れることなく出入りしていた。

九条家の婚礼とあって、政財界の名士たちが我先にと顔を揃える。

小野詩織は九条和也の腕に手を添え、入口で来賓を迎えながら愛想笑いを貼り付けていた。頬が引きつりそうだ。

「……まだ来ないの?」

招待客は次々に現れるのに、天城澪と九条裕也の姿だけが見えない。

外川絢那ですら、まだだった。

詩織が小声でこぼした、その直後。

黒塗りのワンボックスから外川絢那が降りてくる。

黒のロングドレス一枚。髪もメイクも控えめで、主役を食う気配はない――はずなのに。

彼女が現れた瞬間、視線が吸い寄せられた...

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