第116章

天城澪はパソコンを閉じ、荷物をまとめると、九条裕也の前まで歩み寄った。

それでも九条裕也は、その場に立ち尽くしたまま動かない。

「……行こう」

澪がそう促すと、九条裕也は彼女をしばらく見つめ、薄い唇をわずかに開いた。

「澪。約束したよな。平安京・大内裏の修復プロジェクトが終わったら、俺たちのことを公にするって」

天城澪は、息を呑んだ。

――今の、聞こえていたの?

唇を噛む。返す言葉が見つからない。

少し間を置いて、澪はようやく口を開いた。

「……よほどのことが起きなければ。そのときは、公にしよう」

大内裏の修復が完了するまで、まだ時間はかかる。

その「まだ」が、彼女にと...

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