第144章

小野詩織のことを思い出した瞬間、天城澪の瞳から温度がすっと消えた。

――あのとき、自分が運よく生き延びられたのは、九条裕也が間に合って助けてくれたからだ。

もし彼が来なければ。

小野詩織の目論見どおり、川底に沈められ、証拠も残らないまま――。

小野詩織は林家と薄家の寵愛を一身に受け。

自分は、行き場のない孤独な魂になる。

胸の奥から憎しみが煮え立つ。けれど澪は、それを無理やり押し込めた。

小野詩織には、やったことの代償をきっちり払わせる。

……

月曜日。

天城澪は小野隼人に招かれ、山荘の現地視察に来ていた。

「澪、ここの設計は前半と差をつけて、対比をはっきりさせたほうが...

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