第145章

ほどなくして。

小野雪絵が休憩室に姿を現した。

天城澪を見つけた瞬間、雪絵の瞳には隠しきれない喜びが灯る。

「澪……」

小野雪絵は唇を震わせた。両手にはいくつもの袋。近づこうとするのに、足だけがどうしても前へ出ない。

デザイン稿に目を落としていた澪は、雪絵の声に反応して顔を上げた。

表情は淡々としていて、感情の波はほとんどない。形式だけのように名を呼ぶ。

「小野雪絵」

その冷たさは、雪絵も覚悟していた。

けれど実際に突きつけられると、目の中の光が、少しずつ翳っていく。

――澪は、もう私のことが好きじゃない。

子どもの頃は、あんなに私に縋ってくれたのに。

その様子を見て...

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