第16章

「いつでもお待ちしています」九条裕也からの返信は、驚くほど早かった。

天城澪は唇の端をわずかに上げ、残っていた荷物もまとめて片づける。九条和也に関わるものは、迷いなくすべて捨てた。

翌日――時間どおり、九条グループへ出社する。

ここは九条グループ本社。規模も社員数も、九条和也がいる子会社とは比べものにならない。

天城澪が「空から降ってきた」ようにデザイナーとして入社した――その噂は、瞬く間に社内を駆け巡った。

同僚たちは彼女の素性に興味津々だ。本社へいきなり入れるとなれば、よほどの実力者か、よほどの後ろ盾があるか。

ざわめきが広がる中、天城澪は九条裕也の秘書に連れられ、入社手続き...

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