第162章

結局、九条裕也は「時間の無駄だ」という理由で、あっさり断った。

そのあとも彼女は何度もねだったが、九条裕也が首を縦に振ることは一度もない。

外川絢那は、九条裕也は本当に映画が嫌いなんだと思い込み、いつしか誘うのをやめた。

――なのに。

彼は天城澪とは、こうして映画を観に来ている。

しかも様子を見る限り、今日のデートを段取りしたのは九条裕也のほうだ。

その事実が、外川絢那の胸の奥をじわじわと焼いた。嫉妬が、濃く、重く、まとわりつく。

そのとき。

スマホが震えた。

画面に出た名前は、九条和也。

外川絢那は一瞥すると、冷えた声で出る。

「……何?」

九条和也は病院のベッドに...

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