第179章

車は九条家の門前で静かに停まった。天城澪が窓から身を乗り出し、眉をひそめる。

「……ここに連れてきて、どうするの?」

九条裕也は長い脚で降りると、回り込んでドアを開け、手を差し伸べた。澪の腕を支え、丁寧に車外へ導く。

「言っただろ。証人を頼むって」

澪はまだ状況を飲み込めないまま、裕也の背中を追った。

庭では九条賢治が花の手入れをしていた。二人の姿を見つけるなり、ぱっと表情が明るくなる。

「おお。お前たち、どうした。帰ってきたのか」

裕也は軽く顎を引き、澪の手のひらを指先でつまむように握った。

その合図で、澪もようやく我に返る。口元を小さく持ち上げ、きちんとした声を作った。

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