第24章

小野雪絵は、天城澪を目にした瞬間、わずかに意表を突かれた。

彼女の中の天城澪像は、眉目がきつくて、虚栄心の塊みたいな女――そんなはずだった。

けれど目の前にいるのは、静かで礼儀正しく、どこか凛とした、卑屈でも傲慢でもない空気をまとった人物だった。

「小野奥様、私に何かご用でしょうか」

天城澪は腰を下ろし、淡い笑みを浮かべて口を開く。

小野雪絵はそこでようやく我に返り、胸の奥に生じた違和感を押し込めた。

詩織が嘘をつくはずがない。

なるほど――九条裕也があれほど言うことを聞くのもわかる。人畜無害に見える顔をしていて、好感を抱かせるのが上手いのだ。

小野雪絵は滅多に外へ出ない。だ...

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