第73章

小野雪絵の態度は頑として揺るがなかった。

小野家と縁組できるとなれば、高橋雅子が両手を挙げて賛成するのも当然だ。

「小野雪絵さん。もう二人は、そこまで進んだんでしょう? だったら婚約させましょう」

「和也のほうは私が話すわ。必ず、詩織との婚約に同意させてみせる」

高橋雅子のその言葉に、小野雪絵はようやく胸を撫で下ろす。

そして彼女が帰った、その直後。

入れ替わるように九条和也が戻ってきた。

高橋雅子は間髪入れず、婚約の件を突きつける。

「和也。あなたと詩織の縁談は、もう決まったわ」

元から覇気のなかった九条和也は、その一言で顔色を変えた。みるみる陰り、目が冷える。

「……...

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