第75章

天城澪は、彼の身にまとわりつく酒の匂いを嗅ぎ取るなり、思わず眉をひそめた。

「澪……」

九条和也は酔いが回っていて、天城澪を見る目には、みっともないほどの落胆が滲んでいる。

「まだやるつもり?」

天城澪は冷えた視線を向け、瞳の奥に露骨な苛立ちを浮かべた。

――どうしてここまで、しつこく縋りつけるのか。理解できない。

「俺は取り乱してない。今はちゃんと冷静だ!」

九条和也はそう言いながら、天城澪の手を掴もうと腕を伸ばす。

天城澪は身をひねり、すっと避けた。

無表情のまま、釘を刺す。

「九条和也。これ以上騒ぐなら、警察を呼ぶ」

「澪、わかってる。お前がまだ俺を恨んでることも...

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