第86章

「こんなくだらないゴタゴタで、会社にまで波及させるな!」

「承知しました。すぐ手配いたします」

高橋誠一が通話を切ると、九条和也が前へ出た。

声を落として尋ねる。

「外公……何があったの?」

「大したことじゃない。会社で少し問題が起きただけだ。お前はここで母さんを見ていろ。俺は一度、会社に戻る」

そう言い残し、高橋誠一は慌ただしく病院を後にした。

高橋雅子の交通事故。さらに、会社幹部のスキャンダルの露見。

これだけ重なって、偶然で片づけられるはずがない。

――誰かが、高橋家を狙っている。

高橋誠一の脳裏に、あの恐ろしい男の影が突き刺さる。唇がかすかに動いた。

「……全部...

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