第196章

井野哲也と柳原詩音は思わず「プッ」と吹き出して、「ハハハ、改まって別れを告げるなんて!」と笑った。

下村理央は白目を剥いて、「まともに話せないの?」と言った。

後藤近司は黙々と酒を飲み、彼らの笑いなど気にせず、独り言のように呟いた。「俺は高校の頃からお前のことが好きだったんだぞ。自分で計算してみろよ、何年になると思う?どうして俺はお前の心を動かせないんだ?俺はそんなにダメな男か?ちっとも見る価値がないのか?時々本当に分からなくなるよ」

その言葉は本当に切なかった。柳原詩音は後藤近司に同情し、下村理央に尋ねた。「この十数年間、本当に一度も心動かされなかったの?ほんの少しでもいいじゃない」...

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