第291章

「会わない!」七沢聡が会議を終えたばかりで、まだ苛立ちが引いていないところへ、またあの女が騒ぎを起こしに来た。

大野室長はフロントへ電話を入れて伝えると、そのまま叱りつける。

「今後、アポなしは取り次がなくていい。いちいち確認に来るな」

受話器を置いたフロントは、両手を広げて柳原詩音に言った。

「詩音……ほら、上げられないって」

以前からフロントと仲が良かったからこそ、今日も情にほだされて伝言くらいはしてくれたのだ。

柳原詩音は肩をすくめ、どうでもよさそうに笑う。

「平気。上で待てばいいだけだし」

そう言うなり、エレベーターのほうへ歩き出した。

まずい、とフロントは青ざめる...

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