ファイトバック

ルシアン・ヴァイレル視点

鉄と腐臭の香りは、ほとんど陶酔的ですらあった。

抵抗するほど愚かだった最後の貴族一家から奪い取った真紅のベルベットの玉座に身を預け、まだ温かい血の満たされたゴブレットを揺らし、その液体が蝋燭の光を弾くのを眺める。死体はまだ冷え切ってもおらず、その断末魔はすでに俺の心の中でBGMと化していた。

完璧だ。

俺の向かいでは、ヴァエラが血に濡れた美しい捕食者のように歩き回っていた。彼女の唇は最後の食事で黒ずんでいる。俺が愛してやまないあのルビーの炎のような瞳は、彼女もまた同じように感じているとでも言うように、きらりと光った。彼女は完璧そのものだった。俺の美味なる、邪悪...

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