神々の降臨

エロウェン視点

また気を失っていたらしい。眠りからではない。そんなものはとうの昔に失くしてしまった。そうではなく、痛みが限界を超え、魂が五秒間の静寂を求めるときに、身体が強制的に与える類いの無意識だ。

そして、その静寂の中で……何かが変わった。淀んだ空気を、柔らかなそよ風がかき混ぜる。〈るつぼ〉の鋭い金属臭ではなく、もっと穏やかで、涼やかで、懐かしい香り。星の光の香りだ。

「エロウェン……」リシラの優しく温かい声が、私を上へと引き上げた。彼女の魂が、安全と力の外套のように私の魂に寄り添う。「目を覚まして、ムーンボーン。あの方がいらしたわ」

瞬きをすると、かろうじて眼球が動く程度だった。...

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