私たちは彼女を救わなければなりません

ルシアン・ヴァイレル視点

血と硫黄の香りが俺を陶酔させた。神殿は今やほぼ完成していた。黒曜石と骨でできた不浄なる記念碑は、深紅のルーン文字と穢された魔力を滴らせている。血の魔女たちが列をなして跪き、その口は縫い合わされ、肌にはレイルスの忌まわしい本質に呼応して脈打つ紋様が刻まれている。

そして、その中心にあるのが……彼女の祭壇。『血の玉座』だ。

最後の呪文が唱えられた瞬間、影の奔流が氷のような煙のごとく室内に押し寄せた。壁が力に呻いた。気温が急降下した。

そして、ついに彼女の声が聞こえた。「力が……戻りつつある……」

俺の唇は歓喜に歪み、牙を剥いた。素晴らしい知らせだ!

「あと十と...

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