メイト・マッドネス

ターヤ・クイン視点

キープへ戻る道すがら、半分ほど来たところでそれに気づいた……あの忌々しい香りに。煙とカルダモンの香り。私は歩みの途中でキュッと足を止め、苔むした大地に爪を食い込ませた。その香りが、まるで暖かなブランケットのように私を包み込む。

ズキの声が、野生の獣の金切り声のように頭の中で響いた。『運命の相手よ。彼だわ。ライレンが近くにいる』

心臓が跳ねた。私は振り返り、もう一度匂いを嗅ぐ。うん。間違いなく、薪の煙とカルダモン。それに、ほんの少しの革の香りと、アルファ特有の威圧的な色気に危険な香りを添えた、としか言いようのない何かが混じっている。

私はそっと呟いた。「落ち着...

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