解き放たれた
エロウェン視点
フライドポテトは神の味だった。バーガー? それはもう、魂が震えるような体験。タヤは顎にケチャップをつけながら、それを恥じる様子もまったくない。
「ていうかさ、想像してみてよ」彼女は口いっぱいに頬張りながら言った。「もしも資材係のリヴァーが、実は犬好きなんだけど子供の頃に噛まれたトラウマがあって、それで私たちは今、トラウマを抱えたイケメンを悪者扱いしてるんだとしたら……」
「あんたのありえないほど高い理想にまで謝る気はないわよ」私はそう返して、ポテトにもう一本手を伸ばした。「身長一九〇センチ以上で、シダーウッドの香りがして、動物保護シェルターでボランティアしてる男なんて。二つにしなさい」
「わかったわよ」タヤはうめいた。「じゃあ、『息をしてて、舌がある』で我慢する」
私は声を上げて笑った。心から笑ったのは、何週間ぶりだろう。ドアが開き、デザイナーブーツを履いた地獄が歩いてくるまでは。
地獄から来たアルファ・プリンセス、ヴァエラとソリア・ストームクロウ。その両脇には、揃いのお高くとまった表情と付け爪をしたクローンのような取り巻き、ラナとブリエルが控えている。まるでパックの社交雑誌から抜け出してきたかのようだ。長く艶やかなブロンドヘア、物理法則を無視したクロップトップ、そして毒しか吐かないであろうグロスで艶めく唇。
部屋の空気が変わった。死体から立ち上る霧のように、緊張が濃くなっていく。
そしてもちろん、彼女たちはダクソンとその仲間たちがいる隣のテーブルへと、すべるように歩み寄った。彼は顔を上げなかったけれど、その注意がそちらへ移ったのがわかった。風に乗ってきたより強い匂いに気づいた捕食者のように。ソリアは臆面もなくライレンに身を投げ出し、可愛らしくまばたきしてみせる。姉のヴァエラがジェイスの気を引こうとするのを見て、ダクソンは呆れたように目を眇めた。
タヤがうんざりした顔をする。「また始まったわ、マジで」私は彼女たちを無視した。ポテトをもう一本口に放り込み、ミルクシェイクを命綱でもあるかのように見つめて微笑んだ。
それが最初の過ちだった。ピチャッ。目の真ん中に、何か湿ったものが叩きつけられた。視界がぼやける。
それは忌々しい紙つぶてだった。ヴァエラの嘲笑う唇から放たれた、噛み砕かれた紙のミサイル。
時が凍りついた。だが、リシラは違った。彼女が私の意識の中で猛然と前に出ると、銀色の炎が血管を駆け巡った。瞬きする間もなく、私は立ち上がっていた。
いや、跳んでいた。ブースを飛び越え、隣のテーブルを飛び越え、唸り声を上げながら。悲鳴が聞こえたのは、ヴァエラ・ストームクロウを床に組み伏せ、その喉元を押さえつけ、爪を頸動脈に食い込ませ、歯を剥き出しにしてからだった。
私の目はもはや私のものではなかった。銀色に輝いていた。
「ちょっかい出したいってわけ?」リシが私を通して咆哮した。「なら、とことんやってやろうじゃねえか!」
人々が叫んでいた。椅子が床を擦る音が響く。パニックの匂いがそこら中に満ちていた。その時、二本の強い腕が私の腰に巻き付き、力任せに後ろへ引き剥がされた。
私は唸りながら身をよじり、牙をむき出しにしてダクソンの顔の数センチ手前で噛みつこうとした。彼はひるまなかった。私もだ。
一瞬、私たちはただそこに立っていた。神々よりも古い舞踏に囚われた二匹の捕食者のように。彼の嵐のような灰色の瞳が、銀色に光る私の瞳とぶつかり、その中に何か暗いものが揺らめいた。恐怖ではない。
見覚えが……?いや、まさか。私は彼を強く突き放した。息が荒い。リシが支配権を保とうと爪を立てて私に抗うが、私は歯を食いしばって彼女をねじ伏せた。
「私の……」彼女が、低く、戸惑ったように囁いた。
『やめろって言ってるでしょ!』私は心の中で彼女に怒鳴りつけた。『一体何してくれてんのよ、リシ!?』
私は踵を返し、タヤの手首を掴んだ……彼女は賢明にも、大きく目を見開き、飲みかけのミルクシェイクを持ったまま後ろに下がっていた。そして、私たちは逃げ出した。
十分後、私たちは私の家の私道に乗り上げた。タヤの愛車が滑り込むように停まると、砂利が派手に飛び散った。
「うっそでしょ」彼女は息を切らして言った。「あんた、野獣クイーンじゃん、なにあれ!?ていうか、マジ最高、ヴァエラにああするの、ずっと夢だったんだから!」
「あの子を地面に押さえつけちゃったの」私は息を切らし、部屋を歩き回りながら言った。心臓が激しく脈打っている。「公衆の面前で。次期アルファの前でよ。私、彼に唸りかかったのよ、タヤ。噛みつかんばかりに威嚇した。私、死ぬわ」
「っていうかさ……自業自得でしょ。それに? あんた、イケてたよ」
「そういう問題じゃない!」
「問題の一部ではあるでしょ」
私は玄関ポーチの階段に腰を下ろし、顔を覆った。指が震えている。リッシーは黙り込んだまま。まだ拗ねて、まだ呆然としている。普通じゃない。あの子にしては。
そしてその事実が、アルファキングに王女殺害未遂で召喚される可能性なんかより、ずっと私を怖がらせた。
携帯がブーンと鳴った。目を落とす。
@ヴィエラ・アルファビッチがウルフネットに写真を投稿していた。私が唸り声を上げている最中の、銀色の瞳が光るぼやけたショット。キャプションにはこうある。「群れの狼としての振る舞い方を忘れちゃった子がいたみたいね。お父様も草葉の陰で泣いてるわ。#ローグの血 #クレイジービッチ #アルファの問題」
泣かなかった。叫びもしなかった。ただそこに座っていた。なぜなら、突然、私は怖くなくなっていたから。震えてもいなかった。
私は、怒っていた。そして心の奥底で……羞恥心の下で、私の一部が目覚めつつあった。全身が残ったアドレナリンで燃えている。リッシーラが胸の中で、檻に入れられた獣のように歩き回っていた。静かだが、煮え滾るような怒りをたたえて。
タヤにさよならさえ言わなかった。
背後でドアを乱暴に閉め、まっすぐ自分の部屋へ足を踏み鳴らして向かう。買い物袋を脇に放り投げ、シャツを頭から引き抜いてドレッサーの近くに放り捨てた。ジーンズがその隣の床に落ちる。トレーニングウェア――スポーツブラ、コンプレッションレギンス、ぼろぼろの古いスニーカー――を掴み、震える指でそれらを身に着けた。
鏡に映る自分の姿がちらりと見えた。銀色がまだ瞳にかすかにきらめいている。息が詰まった。
『一体、私に何が起きてるの?』
「エロウェン?」マリアの声が階段を上ってきた。穏やかで、抑制された声。まるで自分の養女がネット上で正気を失っていくのを見ていないかのような。
「エロウェン」続いてエロンの声がした。私が「アルファキングを失望させる寸前」のときに彼がいつも使う、あの固く、ぶっきらぼうな口調だ。
二人とも無視した。
「ただ……そっとしておいてあげて」マリアが、私のドアの向こうでほとんど囁き声で言った。「いつものように、自分で解決させてあげましょう」
翻訳すると、つまり――壊れた子は、一人で勝手に壊れさせておけ、ということだ。
熱く、怒りに満ちた、役立たずの涙で視界がぼやけた。髪をきつく三つ編みにし、手首につけていたゴムで結び、階段を駆け下りた。
二人のことなど見向きもしなかった。玄関のドアを勢いよく開け、木の階段をドンドンと踏み鳴らしながら、木々の間へと飛び込んでいった。
トレーニング場は遠くない。小さな小川を渡り、ムーンズ・ホロウ・リッジの斜面を登ったところだ。狼たちは毎日そこで訓練している。スパーリング用のサークル。射的のライン。筋力トレーニングのステーション。誰がいようと構わなかった。何かを殴りたかった。今すぐに。
開けた場所は静かだった。いいことだ。
草地をずかずかと横切り、樫の柱に縛り付けられた重いサンドバッグの一つを掴むと、力いっぱい殴り始めた。何度も、何度も。バンテージの上からでも、拳が焼けるように痛んだ。
やめなかった。腕が痛み、呼吸で肋骨が痛み、三つ編みが汗まみれの背中に張り付くまで殴り続けた。半ば嗚咽し、半ば唸りながら。
「よくも……」私は息を切らし、バッグに拳を叩きつけた。「よくも私に触れたわね。まるで私が、支配されるべき何かであるかのように。まるで私が……」
何でないというの?私は何なの?
『お前はもっとだ』リッシーラが、ついに囁いた。
そして初めて、私は彼女を信じた。なぜなら、私の中で何かがひび割れ、開き始めていたからだ。古く、そして深い何かが。
そしてそれは――飢えていた。
