ザ・サークル

エロウェン視点

あと一時間。残された時間はそれだけ。月が天頂に達し、モリガンが何をたくらんでいようと、その計画が始まるまであと六十分。

私は震えていた。いや、本気で振動していた。全身が生の魔力で、まだ意味をなさない、移り変わるいくつもの記憶で、ブーンと音を立てていた。顔、声、知らない言語の子守唄。――知るまでは。思い出すまでは。

SUVの車内は寒かったけれど、私は汗をかいていた。特殊部隊の連中は私から思いっきり距離を取っていた。ありがたいことに。今一番ごめんなのは、誰かが私に触れて、私がその人の肩によろめきかかっただけで、その絆を失わせちまうことだから。

誰も口を開かない。私の...

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