待ち伏せ

エロウェン視点

訓練場――タップアウト・アリーナ――全同盟パックの狼たちに囲まれて

観衆は野獣そのものだった……文字通りの意味で。半ば人狼化した狼たちが、月の選ばれし者がその実力を示せるかどうか見届けようと、唸り、歩き回り、待ち構えている。私は肩を回し、背骨に溜まった緊張をほぐした。拳にはテープが巻かれ、髪はきつく編み上げられている。心臓の鼓動はゆっくりと、研ぎ澄まされていた。自分を証明するためにここにいるのではない。

この私が何者であるかを、改めて奴らに思い知らせてやるためだ。

サイドラインから、ラクランが低く口笛を吹いた。「奴らを完膚なきまでに叩きのめしてやれ、俺の愛しい人(ひと)よ...

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