ワイルド・ドリームズ&ニップル・ドラマ
エロウェン視点
よろめきながら玄関のドアをくぐった時には、拳には痣ができ、脚は痛み、そして私はまだ怒りで煮えくり返っていた。
ソファに腰かけ、盗み聞きしていないふりをしている堅苦しいガーゴイルみたいなエロンとマリアには一言も声をかけなかった。そのまま階段をずかずかと上り、自分の寝室のドアを背後でバタンと閉めた。
安全だ。今のところは。
トレーニングウェアを脱ぎ捨てて洗濯カゴに放り込み、シダーウッドと汗の匂いがするオーバーサイズのフーディーを被った。拳にこびりついた乾いた血を拭いている途中で、ナイトスタンドの上のスマホが激しく震えた。
不在着信7件――タヤ・クイン。
クソッ。スマホを掴んだまさにその瞬間、画面が再び光った……フェイスタイムだ。私は応答ボタンを押した。すぐに彼女の顔が画面いっぱいに映し出される。奔放な赤毛のカーリーヘアは二つのお団子に無造作にまとめられ、目は大きく見開かれていた。
「うっそ、マジで生きてる!?」と彼女は叫んだ。「あんた、私をガン無視するし、パック中のみんなが『アルファ姫の世紀のチョークスラム』事件で持ちきりだよ。バズっちゃってるじゃん、あんた!」
私はベッドに身を投げ出し、片手で顔を覆った。「もう殺して」
「やなこった。象徴的すぎ。あんたのためにステッカー作ってあげる。『狼に唾を吐くなら、くたばる覚悟をしな』ってやつ」
すべてが最悪な状況なのに、思わず鼻で笑ってしまった。彼女は一瞬黙り、目を細めた。「待って……大丈夫?」
「わからない」と私は囁いた。「何かが起こったの、テイ。意識が飛んだみたいだったけど、同時に、今までで一番覚醒してた気もする。リッシーが骨の隅々にまでいるのを感じた。あれはただ……怒ってただけじゃない。目覚めたんだ」
「だって彼女はヤバい女だから」とタヤは言った。「あんたもね。あのプリンセスたちは自業自得よ」
私が答える前に、ドアを優しくノックする音がした。「入って」と私は呼びかけた。マリアがまた口をへの字にして警告しに来たのだと思った。
だが、そこにいたのはエロンだった。彼は黒い木材に銀の金具が使われ、ルーン文字で淡く輝いている、古めかしい小さな箱を抱えていた。
「スマホは置いていけ」と彼は言った。「大事な話だ」
私は眉を上げたが、言われた通りにした。スマホを顔から遠ざける。「テイ、またかけ直す」
「おぉ、謎の箱ね。死なないでよ。大好き」プツリと切れた。
エロンは、まるで噛みつかれでもしそうな手つきで、箱を私の机の上に置いた。「ケイランがお前に遺したものだ。厳命されている。開けていいのは十八歳の誕生日のみ。それより一瞬たりとも早く開けるな」
息が詰まった。「あなた……これを私に隠してたの?」
「私の選択ではない」と彼は言った。「アルファ・キング自らが封印を強化されたのだ」
心臓が激しく脈打った。「中に何が入ってるの?」
「見当もつかん。だが、魔法はまだ解けていない。早く開けるなよ、エロウェン。本気で言っている」
彼はそれ以上何も言わずに立ち去った。私は箱を見つめた。箱も私を見つめ返しているようだった。指がむずむずしてこじ開けたくなったが、そうはしなかった。できなかった。今夜は無理だ。
魂がまだ解けていくような感覚が残っている今は。だから私はベッドに潜り込み、毛布を顎まで引き上げ、疲労に身を任せた。
すぐに夢を見た。
炎。悲鳴。檻。銀の鎖で口を塞がれた狼たち。注射器。血の滴る鋼鉄の壁。私と同じ目をした少女が……台に縛り付けられ、彼女を救うことのできない父親に助けを求めて叫んでいる。
私は煙と影の廊下を走っていた。刃物と針を持った白い仮面の男たちに追われている。彼らの背後で、あるシンボルが燃えていた……黒い刃、銀の檻、白い仮面。――アイギス・プロトコル。
闇の中で声が響いた。「お前は生き残るために生まれたのではない。それを終わらせるために生まれたのだ」
そして光。目が眩むほどの。月光が銀の川のように降り注ぐ。一人の女性が私の前に立っていた。背が高く、輝きに満ち、その瞳は銀河のように光を放っていた。月の女神だ。「他の者たちを見つけなさい。彼らを団結させるのです。さもなくば、すべてが失われるでしょう」
私は叫び、ベッドの上で勢いよく跳ね起きた。汗でぐっしょり濡れ、心臓が軍太鼓のように打ち鳴らされている。「クソッ」と私は囁いた。「クソ、クソ、クソッ」
ベッドから飛び起き、時間を確認する。
午前七時三十二分。
「クソッ」
十分後、あたしは錆びついた青いシボレーのピックアップで道をかっ飛ばしていた。窓は全開で、風があたしの髪をめちゃくちゃに掻き乱していく。バックミラーからは銀色の星の飾りが揺れ、車が揺れたり曲がったりするたびに踊っていた。
プレイリストの音量を上げる。スピーカーからパンクロックがガンガン鳴り響く。これが朝のあたしのカオスな儀式。いつもこれで落ち着くのだ。
学校の駐車場に車を停め、トラックから飛び降りて校舎に駆け込むまでは……。
そして、ダクソン・ストームクロウに真正面から激突した。
文字通り、物理的に。まるで木にぶつかったみたいで、彼はびくともしない。あたしは目を細め、唸り声を上げた。
二人とも、数センチの距離で固まった。あたしの手には教科書。彼の手にはプロテインバー。どちらも動かない。
「気をつけろよ」彼の声は低く、毒を含んでいた。「今週はもう、誰にもタックルしないでもらいたいもんだな」
あたしは睨みつけた。「面白いこと言うじゃない。昨日の夜、妹さんのプライドを締め上げてた男がよく言うわ」
彼はニヤリと笑った。「俺がお前を引き剥がしてやったから助かったんだろうが」
「ああ、どうも」あたしは彼を突き飛ばすようにして通り過ぎた。「ラッキーだったのは、あんたの方よ」
返事は待たなかった。廊下をずんずん進み、「狼族政治学」の教室へ。タヤの隣の席に滑り込む。彼女は片眉を上げた。「そんなにヤバかった?」
あたしは机に突っ伏した。「想像もつかないくらいにね」
席に着いたか着かないかのうちに、我らが万年不機嫌な「狼族政治学」の教師、ホールデン先生がタブレットから顔を上げ、感心のかけらもない眉を吊り上げた。
「ソーン君」彼はあたしに失望するためだけに生まれてきたみたいなため息をついた。「遅刻だ」
「はい、わかってます、すみません……」
「授業参加点からマイナス十点」
あたしは目を瞬かせた。「本気ですか?」
「二十点にしたいかね?」
歯を食いしばる。「いいえ、先生」
背後から、黒板を爪で引っ掻くような鼻で笑う音がした。ヴェイラだ。やっぱり。
「大変な朝だったみたいね、ソーン?」彼女は毒入りの蜂蜜みたいな声で甘く言った。「誰かさん、アラームのかけ方を忘れちゃったのかしら」
隣の列からソリアが咳払いし、続いてブリエルが手で口を覆いながら「尻軽」と呟いた。
あたしは奥歯を噛みしめた。タヤが「あいつら、八つ裂きにしてやる」と呟く。
その時だった。あたしはそれに気づいた。風を。ひんやりとした風を。お腹に。そして、胸に。
視線を落として……死にそうになった。今朝のパニックで、あたしは洗濯済みの服の山から薄い白いシャツを掴んで着てきてしまったのだ。ブラはなし。少し透ける生地。そして忌々しい蛍光灯の下で、二つの突起がくっきりと浮かび上がっている。
殺して。今すぐ。二列後ろから口笛が響いた。そしてもう一つ。
「いいシャツだな、ソーン!」誰かが叫んだ。「残りはどこだよ?」
「俺、番いになる役、立候補するぜ!」
笑い声が野火のように広がり、あたしの顔から火が出そうになった。タヤはあんぐりと口を開けている。「今ナイフがあったら……」
ヴェイラがまた咳払いした。「必死すぎない?」
その時、頭蓋骨の奥で、リシラが低く唸るような声を上げた。『あいつにやらせろ』
ダメ。
『一回飛びかかるだけだ』
ダメ。
『顔面に一発、爪を立ててやる。いい勉強になるぞ』
「やめて」あたしは息を殺して囁き、机の縁をミシリと音を立てるほど強く握りしめた。
『エル』
「やめてって言ってるでしょ!」
ホールデン先生は顔も上げなかった。「ソーン君」彼は平坦な声で言った。「残りの授業を居残りで過ごしたくないのなら、独り言はやめたまえ」
あたしはゆっくりと息を吸い込み、太ももをきつく合わせて、別の机に飛びかかって人生を台無しにする前に自分を落ち着かせようとした。タヤがテーブルの下で手を伸ばしてきて、あたしの手をぎゅっと握ってくれた。あたしも握り返す。
「息して、ベイビー」彼女は囁いた。「二〇二五年のヴェイラによるチョークスラム事件を乗り越えたんだから。ちょっとした乳首騒動くらい、生き残れるって」
あたしは鼻を鳴らして首を振った。でも、あたしの中で、リシラは諦めていなかった。
彼女はまだ歩き回っていた。
まだ見つめていた。
まだ、待っていた。
