ムーンガーデン

エロウェン視点

温もり。それは太陽の光とは少し違った……もっと古く、無限なる何かに抱かれているような感覚。苔と月光のような。肌の下で世界のハミングが歌っているような。

瞬きをする。頭上の天井は彫刻の施された石と木で、見慣れた、土の匂いがするものだった。ラベンダーと古い魔導書の香りが鼻をくすぐる。そして……声が聞こえた。

「目が覚めるのか?」

「神々に感謝を」

「エロウェン、愛しい人? 俺たちの元へ戻ってきておくれ」

最初にはっきりと認識できたのは、ラクランの訛りのある声だった。深く、ベルベットのようで、祈りのように私の名前を包み込む。もう一度瞬きすると、今度は彼らの顔が視界...

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