月の女神

セレーネ――月の女神視点

『全ての者は、自らの光を選ばねばならぬ。たとえ影の中にいようとも』

私は、領域と領域の狭間から彼女を見つめていた。そこは時間が霧のように漂い、星々が光の脈動だけで語りかける場所だ。

ソリア・ストームクロウ。血と恐怖に鍛え上げられ、選択と後悔に縛られた子。彼女は闇の魔術が編み込まれたシーツに絡まり、横たわっていた。自ら選んでしまった絆の重みと、まだ取り戻せるかもしれない魂の下で、その心は砕け散っていた。その瞳はもはや怒りに燃えてはいなかった。ただ揺らめき、ためらい、沈黙のうちに懇願していた。

彼女はまだ、救えなくはなかった。まだ、間に合う。

私はヴェールへと足...

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