第7章
ロッコ視点
キアラは答えない。
唇を激しく震わせ、瞳に涙を湛えて、かつて俺が守るべきか弱さだと信じ込んだあの表情でこちらを見上げてくる。二ヶ月前なら通用した手管だ。だが今は、ただ吐き気がするだけだった。
「ロッコ! 何の真似だ?」
安楽椅子から身を起こそうともがくジョヴァンニの鼻先から、酸素チューブが滑り落ちる。土気色の顔に、不健康な赤みが差していた。
「キアラはアレッシアの死とは無関係だ! あの臨床試験はキアラのためだったが、あれは医療事故だ……あの藪医者が殺したんだ! キアラに罪を擦り付けるな!」
カルメラが俺の腕に縋り付く。スーツの袖に爪が食い込み、鼓膜を裂くような...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
縮小
拡大
