第170章海上の危機

ソフィアは胸を締め付けるような恐怖を押し殺し、必死に自分を落ち着かせた。

恐怖は何の解決にもならない。自分で自分を救わなければならないのだ。

彼女は猿轡越しにくぐもった声を漏らし、身体をよじって話したいという意思を示した。

タトゥーの男は眉をひそめた。どうやら彼女を屠殺場に引かれる子羊程度にしか見ていないらしい。彼は顎でしゃくり、ずんぐりとした男に彼女の口を塞ぐ布を外すよう合図した。

猿轡が外されると、ソフィアは冷たく潮の香りのする空気を貪るように吸い込んだ。乾燥した喉がヒリヒリと痛む。

顔を上げると、その顔色は青白く髪も乱れていたが、瞳は相変わらず鋭い光を放ち、タトゥーの男――明ら...

ログインして続きを読む