第55話突然の狂気

最初、ソフィアは体が強張っていたが、ヘンリーに先導されて馬場を数周するうちに、次第にコツを掴み始めた。

初めは恐る恐る手綱を緩め、馬をゆっくりと一歩ずつ前へと進ませた。

ペースが上がるにつれ、馬場特有の青草の香りが風に乗って頬を撫で、先ほどの緩やかな歩みよりもずっと大きな胸の高鳴りをもたらした。

思わず笑みがこぼれ、その目元は喜びに輝いていた。

「少しは度胸がついてきたかな?」斜め後ろから、面白がるようなヘンリーの声が聞こえた。

ソフィアは彼を振り返り、得意げに顎を上げた。「当然よ。私、飲み込みが早いの」

そう言って深呼吸をすると、ヘンリーの教えに従い、馬に加速の合図を送った。

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