第63話体重をぶちまけて

ソフィアは静かに皺の寄った袖を直していたが、「婚約」という言葉を耳にした瞬間、ピタリと動きを止めた。

彼女は顔を上げ、長い睫毛をかすかに震わせた。その瞳を、一瞬の戸惑いがよぎる。

あの二人が婚約する?

ソフィアは瞬きをし、この前厩舎でヘンリーがカレンにとった態度を思い返した。

カレンに一瞥をくれることすら面倒くさがるようなあの男が、彼女と婚約するだなんて?

ソフィアは額をこすり、いまだに自分を睨みつけているカレンを見て、胸の奥から湧き上がるおかしさと呆れをどうにか押し殺した。

まあ、カレンは子供の頃から甘やかされて育ち、自分が望めば何でも思い通りになると思い込んでいる、彼女自身の作...

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