第104章 切除

そのあと、彼は身を乗り出し、まだ反射的に震えているエヴァの肩を強靭な体重で押さえつけたまま、自分の右腕を彼女の口元へ差し出した。

「噛め」

低い声の命令。

エヴァは顔を背け、荒く息を吸う。

「いらな……」

「噛め」

セバスチャンの声が一段落ちる。逃げ場のない圧が、病室の空気ごと潰してくる。

「舌を噛み切ったら、後がもっと面倒になる」

医師がごくりと唾を呑み込み、新品のメスを取り直した。

「やれ」

セバスチャンが医師へ視線を投げる。

刃が再び、肉を割った。

今度は深部――壊死した組織を、容赦なく切除していく。

エヴァの全身がびくんと硬直し、喉の奥から音程の崩れた呻きが...

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